日本助産師会出版

乳信仰探訪

本殿の横から回り込んで行くとご神木の大楠が立っている
大楠は塀のすぐ脇にあるので外からもよく見える
伊勢宮神社の本殿

伊勢宮(いせのみや)神社境内の楠稲荷神社鳥居横にクスノキの巨樹がある。樹高25m、目通り幹周7.9m、樹齢500年と言われるご神木で、「お乳の神様」と呼ばれる。
幹に洞窟のように穴があいており、そこに米のとぎ汁を一升かけて祈願すると、乳が出るようになるという話が、長崎市公式サイトで紹介されている。
『長崎市史』には「古来楠神社に祈願して其の大楠に毎日米汁を注げば、乳無き者は乳を生じ乳少なき者は其の量を増すと言ひ傳へ又其の霊験著しるしき實例ありて婦人の來り祈る者の絶ゆることがない。」とある。穴は江戸時代の火災で焼けたものというが、どの部位がそれなのか現地でも不明とのこと。
伊勢宮神社は江戸時代初期キリシタン禁教令が出た後、寛永16年(1639)に唐津出身の天台宗修験者南岳院存祐(なんがくいん そんゆう)が推薦されて伊勢宮神社を創建したという。ここの伊勢町という場所はむかし新高麗町と言われて、文禄・慶長の役で朝鮮半島から来た人々が住んでいた場所という。キリシタンや朝鮮出兵に関係する歴史のある場所である。

長崎市役所:長崎市史 地誌編 神社教会部(上)、1929、p733
長崎市公式サイト「ナガジン」http://www.city.nagasaki.lg.jp/nagazine/shutter/180101/index.html
写真:奥 起久子(2022/7/25撮影)

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