小峰の集落から153号線(清和砥用線)をしばらく行った山の中、道路脇の木の鳥居から少し参道を登っていったところに腰越観音がある。お堂の前の石段の傍に背の高いイチョウが立っている。
幹の付け根や枝の下からチチが下がっており、「チチコブ」と呼ばれて、この皮を煎じて飲むと乳の出がよくなるということで信仰の対象となっていたと、山都町の発行する「広報やまと」に紹介されている。記載された資料はなく、地域の伝承とのこと。
イチョウは雌株、樹高20m、幹周3.8mで指定なし。お堂に向かってチチが多く垂れた枝が出ていたが、何年か前に誰かが切って持ち去るという受難にあったとのこと。
堂内には3体の木像が祀られており、そばに小さな祠があるほか、イチョウの根元に小さな手水鉢のような石造物、お堂の裏側に3基の石造物があるが、合併前に清和村教育委員会が編集した『文化財の探訪:清和村(2001)』や『清和村史(2009)』には掲載されておらず、詳細は不明。
周囲に民家は数軒しかない場所だが、参道や境内は近くの方によって大変綺麗に維持されている。
広報やまと2017年2月(No.143) https://www.town.kumamoto-yamato.lg.jp/kiji0035292/3_5292_4_40_110_ps1_6KY03WVS.pdf
写真:奥 起久子撮影(2023/4/28)
情報提供:山都町教育委員会