


医王寺本尊の薬師如来は乳の仏さまとして知られ、乳薬師ともいわれる。境内にあるイチョウは樹高25m*、目通り幹周 2.3m*で、県指定天然記念物のラッパイチョウ。貧しい母親が薬師如来のお告げでギンナンの実を食べたところ、乳が溢れるほど出るようになり、聞いた人々がたくさんお参りに来るようになったこと、このギンナンは乳の雫といわれるという話が丹波篠山市公式サイトと『丹南の民話と伝説』にある。
丹波篠山市教育委員会への問い合わせでは、乳の祈願の話は地域の伝承で、記載された元資料はないとのこと(2021年8月)。
ラッパイチョウとは葉がロート状をしたもので、ここのものは1割程がラッパ型、他にもオハツキ型、傘型と奇形葉の種類を多く持つ変種とのこと。イチョウは「生きた化石」と呼ばれる原始的な樹木であるが、その中でも原始的な性質を持つものと考えられている。
医王寺は山号を東護山という曹洞宗の寺院で、開基は応永年間(1394〜1428年)という古い歴史があるが、今は無住である。
*丹波篠山市公式サイトによる
丹南ライオンズクラブ:丹南の民話と伝説、丹南ライオンズクラブ、1995年
丹波篠山市公式サイト「北村の薬師様とラッパイチョウ」
https://www.city.tambasasayama.lg.jp/photo_history/2/bunkazai_hubutu_huzoku/sasayamanominnwa/minwatodennsetu_tannan/14159.html
丹波新聞2019年12月3日記事 https://tanba.jp/2019/12/境内染める「原始」のイチョウ%E3%80%80一風変わった葉/
写真:奥 起久子撮影(2022/10/18)