

淡路島の寺社は山を登ったところに多いが、妙勝寺も集落から登った大阪湾が見える高台にある。本堂の裏にある番神堂は元禄11年(1698)に建てられたという非常に古いお堂であるが、それを感じさせないしっかりした造り。古い建築様式としては淡路で屈指のものであることが現地説明版に記載されている。お堂の前には今もお賽銭が置かれている。
永田氏の『祈りの絵・淡路島の絵馬』には、ここに奉納されていたという古そうな乳絵馬の写真が2枚掲載されており、このお堂に乳の祈願が行われていたことを物語る。
2年前に新しく赴任したという住職が探してくださったが、現在絵馬は乳絵馬ではないもの3枚が残されているのみとのこと。乳の祈願についての情報は、現在の関係者には伝わっていないそうである(2024年3月取材)。
妙勝寺は山号を御太刀山という法華宗の寺院。足利尊氏が室町幕府を開く前にここに来て、縁起のよい名前の寺院として太刀を奉納したという。
永田誠吾:祈りの絵・淡路島の絵馬、教育出版センター、2005年、p120(写真)
写真:奥 起久子撮影(2024/3/3)、絵馬写真は永田誠吾氏提供