淡路島東側の大阪湾を見下ろす丘にある小さなお堂。以前は堂内にいくつかの乳絵馬が奉納されており、乳の祈願や子育ての祈願がなされていたと考えられる。『続・むかしばなしひがしうら』にも、その旨の記載がある。
お堂の奥にご神体として祀られているのは、高さ2m、幅2.5m、厚さ0.5〜1mという大きな花崗岩の自然石。岩石がご神体であるのになぜ薬師堂と呼ばれているのかなどの経緯については不明とのこと(泉住寺住職より)。
現地には、お堂が昭和8年(1933)に建て替えられたこと、子育ての仏さまとしてお参りされていた、という東浦町老人クラブ連合会が建てた案内板がある。
永田氏の『祈りの絵・淡路島の絵馬』には珍しい手書きのものを含め8点の乳絵馬が記録されているが、それを含めて現在全て現地のものは失われている。
周囲には民家が点在しており、お堂は近くの法華宗泉住寺が管理をされている。
東浦町老人クラブ連合会:続 むかしばなしひがしうら、2003年、p62
永田誠吾:祈りの絵・淡路島の絵馬、教育出版センター、2005年、p120(写真)、p126〜127(文)、p328(データ)
写真:奥 起久子撮影(2023/4/23)、絵馬は永田誠吾氏提供
取材協力:河野良啓氏(泉住寺住職)