日本助産師会出版

乳信仰探訪

光明寺の乳授け地蔵

授乳の最後の乳をこの地蔵にお供えすると、次の子どもの授乳に十分な母乳が授けられると資料にある
境内に入ってすぐ左に乳地蔵堂がある
立派な建築様式の光明寺本堂

龍宮の門を模したという山門を入ってすぐ左手にある地蔵菩薩は、昔から「乳授けの地蔵さま」と伝えられて信仰を集めたという。また授乳の最後の乳をこの地蔵にお供えすると、次の子どもの授乳に十分な母乳が授けられると『瀬戸内三十三観音巡り』に記載されている。「乳預け」という言葉は使っていないが関西以外では少ない乳預け祈願があったようだ。
住職の母堂のお話だと、以前は乳の祈願でお参りする人は多かったとのこと。地蔵菩薩は第8世の住職が作成したと台座に彫られている。
光明寺は山号を日光山という高野山真言宗の寺院。ご本尊は子授けに霊験があるという十一面観世音菩薩で、行基の作とされ、50年に1回の開帳という秘仏。報恩大師が寛文年間(1661〜1673)に創建したといわれ、瀬戸内三十三ヶ所観音霊場の第9番札所である。明治天皇が一泊した記念の石碑「明治天皇行在所」が有名だが、明和5年(1768)に建てられた本堂は大変立派な建築様式である。

片山新助:瀬戸内三十三観音巡り、山陽新聞社、1986、p48〜51
ブログ「日本男道記」 https://blog.goo.ne.jp/4126nk/e/2bc61f16963c0f2554fc5f7af542aad8
写真:奥 起久子撮影(2023/4/8)
資料提供:光明寺

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