善昌寺は閑静な場所に位置している禅宗の古刹。山門前に乳地蔵堂があり、中に石板を中心に2体の石地蔵が祀られている。向かって左が高さ47cmの「乳地蔵」坐像で、昭和30年(1955)頃まで乳の出を祈願するためにお参りする人が多く、よだれかけが地蔵の顔を隠すほど寄進されていたことが資料『山陽路のお地蔵さん』に書かれている。
乳地蔵の基壇には文政12年(1829)施主 當町角先八郎右衛門妻と彫られており、江戸時代のもの。もう1体の立像は三界万霊地蔵尊で、乳地蔵よりも少し古いものとのこと。周囲は綺麗に清掃され、大切に管理されているようである。
善昌寺は山号を護国山という曹洞宗の寺院。鎌倉時代末期に開創されたと伝わり、本尊は千手観世音菩薩。本堂内側廊下は鴬張廊下として知られ市指定文化財である。
花谷 武:山陽路のお地蔵さん、エイト出版社、1977、p66〜67
写真:奥 起久子撮影(2024/7/7)
情報提供:善昌寺