比和町森脇地区は山と田んぼと集落が入り混じった地区である。神社は国道432号線沿いにあり、一の鳥居、二の鳥居を潜って参道の石段を上ると古い社殿と境内社がある。『広島県民俗資料』によると、「子守社」ともいわれて、乳形の供物をして乳の出を祈る、と記載されている。
森脇錦山城主の湯浅肥前守広吉の崇敬が篤く、内室出産のおり乳の出が少なかったので祈願をしたら乳が出たということから、子守の神として崇敬されるようになったという興味深い情報が個人のブログにあるが、出典は不明。
現在の宮司や氏子の方々の中には、乳の祈願についての伝承は伝わっておらず、乳型の奉納物は残っていないとのことであった(2024年7月取材)。
すぐ隣が城福寺という寺院で、間に仕切りはなく、複数の江戸時代の石仏や新しい水子地蔵が立っているが、乳の祈願とは関係ないとのことである(住職談)。
籠守神社の創祀年代は不詳だが、丹波より勧請されたとのことで、ご祭神は伊邪那美命(いざなみのみこと)。『広島県民俗資料』によると浦島太郎が祀られているという話もあるらしい。
ひろしま・みんぞくの会:広島県民俗資料 第8集 心意生活2 民間信仰、ひろしま・みんぞくの会、1976、p273
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写真:奥 起久子撮影(2024/7/9)