木村(こむら)地蔵尊を祀ったお堂は、山をしばらく登って行ったところにある。平生町教育委員会の作成した現地案内板に、この地蔵菩薩は乳を授けるというご利益で名高いと記載されている。堂内には立体乳型絵馬が数個奉納されている(2024年7月取材)。
昔この周辺には蓮台寺をはじめ6坊が建っていて隆盛を極めていたが、大内氏の没落で衰退し、この地蔵菩薩を祀るお堂だけが残っているとのこと。『防長風土注進案』には、木村山蓮䑓寺地蔵尊略縁起に次の話があると記載。大内家が断絶となって寺院も撤退することになったので、仏具など全ては納経山に埋め、地蔵菩薩は小堂を建ててお祀りすることになった。蓮䑓寺跡地は堂面という地名で残っており、筒井という井戸は閼伽井と呼ばれ「此井をかゆれハ乳を出す」とある。井戸の場所や現存しているかどうかなどの情報はない。
現地案内板に、縁日には「管米」を炊いて(筒状に切った竹を入れてお米を炊く)その年の農作物の出来を占う風習があることが記載されているが、運営する農家が2軒に減ったため2011年で終了したとのこと。
山口県文書館:防長風土注進案5 上関宰判上巻、県立山口図書館、1962、p346
https://dl.ndl.go.jp/pid/2990891/1/182
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写真:奥 起久子撮影(2024/7/6)