日本助産師会出版

乳信仰探訪

昔の社殿の古材で建てた仮のお社とのことで簡単な造り、前にイチョウが覆い被さっている
堂内には4体の石地蔵がお祀りされている以外何もない
イチョウからはチチがたくさん垂れているが、枯れているように見える

現在はテレビ塔用工事のためにできた車道があるが、以前は西谷小学校から八町坂といわれる急坂を2kmほど登る必要があった。林の中に埋もれるように「乳地蔵堂」と呼ばれるお堂がある。そばに覆い被さるようにチチが多数垂れたイチョウの木が立っている。
このチチを削り取って煎じて飲むと乳が出るといわれて祈願され、代理参拝も含めると遠くは松山、三津浜、伊予市方面からも参拝の人がきていたという話が『ふるさとの記録ー民話・伝説編』にある。乳が出るということからイチョウは「乳生(ちちぶ)さん」と呼ばれていたという話が、個人のブログに書かれている。
近くの一軒家に住んでいる男性のお話では、昔は乳の祈願でお参りする人は多かったけどね、何年か前が最後で以来見ていないとのこと(2023年10月取材)。
お堂は旧社の古材を使用し波トタン葺きの仮本殿として改築されたものと資料にあるが、かなり寂れている。堂内には4体の石像があり、中央が地蔵菩薩とのこと。資料のイチョウの写真では元気がないように見えて心配していたが、実際訪問してみると殆ど葉を付けておらず枯死しているのではないかと思われる。
そばにあった白尾神社跡地の道を挟んだ下方にはエドヒガンザクラの古木があり、花弁が釣鐘の形をしていて釣鐘ザクラという名称で市指定天然記念物。

川内町老人クラブ連合会編:ふるさとの記録ー民話・伝説編、昭和61年(1986)、p56〜57
http://www.toon-lib.jp/H24K_furusato3.pdf
井内老人クラブ:井内社寺誌 復刻版、2007、p62「地蔵堂」
http://www.toon-lib.jp/H24K_iuchisyjisi%20.pdf
ブログ「こたろう博物学研究所」http://www.kotaro-iseki.net/sumizumi/07-kawauchi.html
写真:奥 起久子撮影(2023/10/24)

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