日本助産師会出版

乳信仰探訪

薬師堂は白鳳時代のものと言われる弘安寺跡に建っている
薬師如来は拝見できないが、堂内は綺麗に整備されている
乳の祈願のために奉納された乳絵馬が残されている

まんのう町郊外の田んぼのそばにある薬師堂で、ご本尊の薬師如来像が安置されている。『満濃町誌』に、良縁、妊娠、浮気封じとともに、乳の祈願が願掛けの対象になっていたこと、授乳祈願のための祈り絵馬が数十個奉納されているとある。
現在堂内には、2個の大きな丸提灯の下で女性が祈っている乳の祈願と考えられる絵馬や、胸をあらわにした女性を描いた乳絵馬が何点か残っているが、関西や関東でよく見る搾乳絵馬は見当たらない。
薬師堂は白鳳時代に建てられた古代寺院と言われる弘安寺の跡にあり、薬師堂の北側の4つの柱は弘安寺の礎石の上にそのまま建てられている。ご本尊の薬師如来は厨子の中にあって見られないが、像高131cmの立像で、胸のあたりから腹部に流れる衣文の線が整って古調を漂わせる美しいものとのこと。

満濃町誌編さん委員会:満濃町誌、満濃町、2005、p1014、p1018
写真:奥 起久子撮影(2023/4/25)
資料提供:まんのう町教育委員会

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