日本助産師会出版

乳信仰探訪

三日原観音(さんじがはるかんのん)

球磨川を見下ろす小さい丘にある小さいお堂
堂内には古い薬師如来石像など3体がお祀りされて綺麗に管理されている
案内板に乳のご利益のみが記載されている

以前みかのはらとも読んでいたそうだが、さんじがはると読む。九州相良三十三観音巡りの第4札所。綿や穀物を入れた乳房の形をしたものを奉納すると乳の出が良くなるといわれ、沢山の乳形が奉納されていたという話が冊子『相良三十三観音巡り』と熊本県公式観光サイトにある。
現地にある相良三十三観音巡りの案内板にご利益として記載されているのは、乳の出のみである。本堂の香炉台に享保11年(1726)の銘があることや、正面の鰐口に天保13年(1842)の銘があることから、江戸時代から信仰されていたことが分かる。
授業で訪れた地元の小学生に、乳の祈願のことを手始めに三日原観音の説明をしているという地元ボランティアの女性(70歳)のお話では、昭和50年(1975)頃までは乳型がいくつも奉納されていたとのことだが、現在何も残っていなかった(2023年11月取材)。
堂内には、比較的新しい聖観音と、古そうな薬師如来石像など3体がお祀りされて綺麗に管理されている。観音堂のある丘は球磨川を望む絶景ポイントで、江戸時代に人吉地方を治めていた相良藩の歴代城主は、ここからのお月見がお気に入りだったそうだ。

末吉駿一:相良三十三観音巡り、人吉温泉さくら会、2014、p106〜107
熊本県公式観光サイト「もっと、もーっと!くまもっと」https://kumamoto.guide/spots/detail/11674
写真:奥 起久子撮影(2023/11/7)

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