長泉寺のご本尊の薬師如来像は、高さ59cmの坐像で、とくに祈願すると乳が出るという霊験があり乳薬師として信仰された、という情報が『べっぷの文化財』にある。一木造りで形式から平安後期の作であろうと言われる古いものである。
『長泉寺略縁起』によると、寛徳2年(1044)に第69代後朱雀天皇の皇子・親仁親王(ちかひとしんのう)が重い病になった時、夢枕に現れた薬師如来のお告げにしたがって豊後国竈門庄の霊泉に赴き療養したところ回復。
京に戻って後冷泉天皇に即位した親仁親王は、温泉の近くの山の上に百済様式の七堂伽藍を建立して薬師如来を祀った。またこの寺院の山号を赤い温泉の色に由来して「朱湯山」と、温泉が常にあふれている様子から寺院を「長泉寺」と名付けたという。この略縁記をモチーフにした美しい曼荼羅が作成されている。
温泉と関係が深いということから、長泉寺は100m程上にある間欠泉 龍巻地獄のお湯を引いて「薬師湯」と呼ばれる温泉浴場を管理している。入湯料金はお志でお賽銭箱に入れるのだそうだ。
ウエブ「地球の歩き方」 https://tokuhain.arukikata.co.jp/beppu/2019/02/post_3.html
長泉寺公式サイト https://chousenji.sakura.ne.jp/t_yurai.htm
別府市教育委員会:べっぷの文化財、2017、p5、p10〜11
https://www.city.beppu.oita.jp/doc/gakusyuu/bunkazai/booklet/no47.pdf
写真:内岡 恵撮影(2023/8/20)