玉泉寺は山の中の三尾川集落にあり、子安・安産のご利益で知られる寺院。 文化3年(1806)に編集された『紀伊続風土記 第1輯、第5輯』には、玉泉寺の本尊の薬師如来は明恵上人が作成し、乳をあたえ安産をなさしむとして人々が信仰したと記載されている。
高野長峰霊場のサイトには、次のような故事が紹介されている。流産歴のある妊婦が玉泉寺の薬師如来に祈願したところ鰐口の緒が切れ落ちたので、薬師の恵と思い持ち帰り腹帯にしたところ安産となり玉のような赤子を授かった上に、乳にも恵まれ子どもはすくすくと成長したという。寺院のご朱印にも同じ故事が書かれている。鰐口には新しい緒が何本もつけられている。
『紀伊続風土記第5輯』には、鰐口に三尾川村薬師寺之用也と彫られているので、昔は薬師寺といっていたのではないかとある。
玉泉寺は山号を寳光山という真言宗高野派の寺院。高野長峰霊場の第7番札所である。ご本尊の薬師如来は大変古く立派なものである。
仁井田好古:紀伊続風土記 第1輯、歴史図書社、1970年、p854 https://dl.ndl.go.jp/pid/9573494/1/537
仁井田好古:紀伊続風土記 第5輯、歴史図書社、1970年、p320 https://dl.ndl.go.jp/pid/9573498/1/372
高野長峰霊場サイト「安心日和」https://anjin.deci.jp/007_gyokusen_ji.html#topimage
写真:奥 起久子撮影(2024/10/10)
情報提供:玉泉寺住職