隅田八幡宮には応神天皇、神功皇后が祀られており、多くの人たちがお参りする大きな神社。神仏分離令以前に、境内に神宮寺として大高能寺(だいこうのうじ)があった。
その薬師堂(薬師如来)には耳と乳の祈願が行われ、乳絵馬が多数奉納されていたという記録が『橋本市史』にある。大きな乳房から乳が流れ出る様子を描いた絵馬が多数奉納されていたこと、穴の開いた小さい石に糸を通したものが多数吊り下げられていたとのことで、元情報は享保10年(1725)に書かれた隅田八幡宮の古文書とのこと。
「當山の薬師堂にハ女の乳大きく雨の降るごとく流れ出る體を書き絵馬にして掛るところのもの是多し、乳の出ること少きを患るもの薬師如来に祈り感應ありてこれを此堂にかけ又小き石の穴の明きたるに糸を通して貫き堂に掛るものはなはだ是多し、此者耳の聞へぬもの立願して感應をかふむるもののささぐるころなり」
明治の神仏分離令で大高能寺は神社と別れたが、この時薬師堂は廃されてなくなり、大高能寺には本堂と不動堂が残る。薬師如来はどうなったか?
1kmほど離れた圓光寺にご本尊として祀られている。中島地区交流センター中島集会所(隅田町217)の隣にあり、地域の方々によって境内は綺麗に管理されているが、ご本尊は普段は拝見できない。
橋本市史編さん委員会編、橋本市史 下巻、橋本市役所、1975年、p474
写真:奥 起久子撮影(2024/1/15)