北又集落は高野山近くの摩尼山を源流とした北又川沿いの山の集落である。須佐神社(旧・氏神社)の境内にイチョウの古木がある。樹高20m*、目通り幹周3m*、樹齢250年以上*といわれて、町指定天然記念物である。
このイチョウのチチを削って飲むと乳がよく出るといわれているとのことで、北又集落の人だけでなく山の反対側にある東郷集落の人からも聞いたので、広く知られた話のようだ。北又集落の人の話では、長さ50cmほどの大きなチチもあったが、20年くらい前に夜間密かに切り取られたとのこと。なるほど、比較的新しいすっぱり根本から切り落とされた跡が2つ並んでいる。切った人はバチがあたって亡くなったのではないかという噂もあるらしい。
国土交通省資料には、九度山町天然記念物「北又乳イチョウ」から垂れている乳と呼んでいるコブは、民間療法に用いるとのことでかなりの量が切り取られている、とある。この民間療法というのが乳の祈願の事を指すようだ。
須佐神社は東郷にある丹生神社に合祀しており、社殿はない。東郷丹生神社の方に、北又の氏神社の八幡宮牛頭天王、辨財天を合祀という記載がある**ので、銀杏の近くにある2つの小さい祠は牛頭天王と辨財天のようだ。
北又集落には以前20数世帯約100人が住み、夏には境内で盆踊りが行われていた***そうだが、過疎化が進んで現在4世帯である(2025年2月取材)。
*現地の九度山町教育委員会の案内板
**和歌山県神社庁サイト(乳の祈願の話はない) https://wakayama-jinjacho.or.jp/jdb/sys/user/GetWjtTbl.php?JinjyaNo=4048
***橋本新聞(乳の祈願の話はない) https://hashimoto-news.com/news/2015/07/26/29778/
国土交通省和歌山河川国道事務所:第4回紀の川流域委員会スライド、2001年
https://www.kkr.mlit.go.jp/wakayama/ryuiki_iinkai/ryuiki/comm04/pdf/slide/slide3/kii29.pdf
写真:奥 起久子撮影(2025/2/3)