明徳寺（みょうとくじ）境内にある小さい地蔵堂で、近隣の地蔵講の方々で管理しているもの。子授け・乳授け・夜泣きにご利益があるとの情報がある。
『有馬郡誌』には、上山口にいた庄屋がこの地蔵を帰依信奉したところ男子を授かったのが最初で、その後乳授け・夜泣きの祈願が行われたように記載されている。「古、上山口庄屋、永年子なきを悲しみ、祈願せしに、忽ち美事なる男子を授かり、篤信奉祠せしを、明徳寺境内に遷祠せるものにして、夜泣き地蔵とも、道祖神（縁結地蔵）とも、お乳の地蔵ともいう。其の霊鹸あらたかにして郷邑數里の地より善男善女の参詣するもの多し」とある。
お堂の中には３体の石仏がお祀りされており、格子には赤い涎掛けが奉納されている。お寺の関係者の方の話だと、赤ちゃんが生まれたら名前を書いた提灯を奉納し、それがずら〜と並んでいたとのこと。以前は8月24日の地蔵盆が盛大に執り行われ、子どもが舞台の上で踊りを奉納したそうだ。地蔵講自体構成メンバーの減少でお祭りを始めとして伝承行事は維持ができなくなっているそうだ（2025年1月取材）。

山脇延吉（有馬郡史編纂管理者）：有馬郡史 上巻、坂本広三郎、1929年、p580
ブログ「散策山口の石碑巡り」https://www.asahi-net.or.jp/~lu1a-hdk/yamaguti-sansaku-sekihi.meguri.htm
ブログ「明日香 亮・残日録」https://ahidaka.asablo.jp/blog/2009/04/18/4252227
サイト「西宮山口」https://nishinomiya-yamaguchi.jp/?p=5004
写真：奥　起久子撮影（2025/2/1）