

薬師堂には行基作と言われる薬師如来が安置されており、昔から「大井の乳薬師」と言われて、乳が出ると信仰されたという話が猪名川町の観光ガイドにある。寺院関係者からの情報では、乳の祈願は伝承として伝わっているが、記載された文書はないとのことである(2021年8月)。
文化4年(1807)最晩年90歳の木喰上人がここに立ち寄り、3ヶ月間の滞在中に制作した14体の「木喰仏」が残されていることでも有名。薬師堂内に13体が並んでいる。もう1体は立ち木に彫られていた「立木子安観音」で、木喰上人が一晩で樫(椎とも)の巨木に彫りつけたといわれる。明治時代に木は枯れてしまい、現在はお堂の中に立木の一部を含めて祀られている。
寺院が立てたと思われる現地案内板には、この子安観音は「1度拝めば安産、2度拝めば母乳は欲しいまま、3度拝むと観音像のように育つ」と記載されているので、薬師如来だけでなく子安観音にも乳の出の祈願の伝承があるようだ。
東光寺は山号を水井山という浄土宗の寺院。奈良時代に行基が開基、平安時代中期には源 満仲が祈願所として信仰、源 頼光が大江山の鬼退治に向かう途中に戦勝祈願をしたといわれている古刹で、ご本尊は阿弥陀如来である。
サイト「猪名川町観光なんでもガイド」http://inagawa-kankou.jimdofree.com/歴史探訪/木喰仏/東光寺の木喰仏/
写真:内岡 恵撮影(2023/4/6)
情報提供;畑野 清氏(猪名川町観光なんでもガイド)