


中国自動車道近くの田園地帯にある。山の中の八幡神社から100mほどの参道を下った麓にある屋根のついた井戸がそれである。この水は「乳の水」と呼ばれ、神社にお参りして水を持ち帰り飲むと必ず乳が出るという話が『加西市史』『郷土の民話』にある。
現地案内板(設立者不明)と国土交通省サイトの記事では、水でご飯を炊いて食べると乳が出ると記載されている。
15、6年前までは、姫路・明石・神戸から月に2〜30名参拝者が来ていたとのこと(1972年『郷土の民話』)。
神功皇后が朝鮮半島の新羅との戦争に赴く途中で皇子(後の応神天皇)を出産し、加古川の氷丘に置いて出征した。その時この八幡さんのお使いの鳩が飛んで行き、乳の水を飲ませて皇子を養ったという話がある。
夜中の12時になると石垣の間から乳のような白い水が湧き出てきて、しばらくすると澄んだ水となるが、朝見ると周りの石に乳のような白いものが付いているという話が伝わるという。
現在もきれいな水が湧き出ていて、井戸の中にはエビ・ヤゴなどが生息しているそうだ。
郷土の民話東播地区編集委員会:郷土の民話 東播編、兵庫県学校厚生会、1972年、p146
兵庫県老人会連合会:兵庫県むかしむかし 第1集、兵庫県老人会連合会、1974年、p91
玉岡松一郎:播磨の伝説、第一法規出版、1975年、p46
宮崎修二郎、足立貫一:兵庫の伝説 日本の伝説43、角川書店、1980年、p121
加西市史編さん委員会、加西市史 第6巻本編民俗、加西市、2007年、p575〜576
国土交通省近畿地方整備局 姫路河川国道事務所のサイトhttps://www.kkr.mlit.go.jp/himeji/torikumi/river/database/kako_scene/84.html
写真:河野 忠氏(天正大学)提供、内岡 恵撮影(2023/4/5)