溜池が点在する農村地帯の林の中に建っており、害獣除けのフェンスを開けて石段を登っていく。近くに住む高齢男性(78歳)の話では、以前は遠くからも乳の祈願に女性が多く訪れて、男性が子どもの頃にはお堂の壁には奉納された乳絵馬が10枚ほどかかっていたという。『祈りの絵・淡路島の絵馬』には乳絵馬が8枚残存との記載があり、5枚の写真を掲載、2枚が著者の永田氏宅に保存されている。
以前は縦4間、横2間半程度の今より大きな建物で、庵主と呼ばれる女性が3代にわたって住んでいたというが、庵の由来などは不明。カラクサはこの地域の呼称という。近隣の30軒ほどが参加する女性の講があって、年1回女性だけで集まってお祭りが行われていたという。
お堂は平成の初め頃建て替えられて倉庫のような簡素なものになり、絵馬はその時廃棄されてしまったとのこと。周辺には古い弘法大師像や石碑、石造物などが散在している。お堂の中には厨子に入った馬頭観音をはじめ数体の仏像が安置されているが、詳細は不明。
周辺の方々が共同管理しており、何日かに1回はみんなで掃除するとのことで大変きれいに管理されている(2024年3月取材)。
永田誠吾:祈りの絵・淡路島の絵馬、教育出版センター、2005年、p118(写真)、p371(データ)
写真:奥 起久子撮影(2024/3/3)、絵馬は永田誠吾氏提供
情報提供:南あわじ市埋蔵文化財調査事務所