倭文(しとり)神社の本殿裏にあった古木で、目通り幹周6.7m*、樹齢600年*といわれ、町指定天然記念物であった。タブノキ特有の乳房状の突起物があって、「乳神さん」と呼ばれ神木として崇められていたが、昭和53年(1978)に倒れてしまった。
旧東郷町教育委員会の設置した「御神木の乳神さんといわれて崇められている」という天然記念物指定時の説明板がそのまま残っており、倒れた根にはしめ縄がかけられ、根からは若木が数本伸びて大きく育っている。側には安永(1772〜1781)と彫られた小さな石塔があり、古い歴史を物語る(2023年10月取材)。
倭文神社は東郷池から丘を登って行った場所にあり、伯耆国一ノ宮とされる格式の高い神社。下照姫命(したてるひめのみこと)が祀られていることから、安産に霊験があるとされ、参道の脇に安産石があり、安産や子どもの健やかな生育を祈願した絵馬が奉納されている。もう一柱のご祭神は建葉槌命(たけはづちのみこと)、機織りの祖神とされている。またここから発掘された容器に彫られた一宮という文字は日本で最古の文字のことである。
*旧東郷町教育委員会の設置した現地案内板による。
鳥取県東郷町発行:東郷町史、東郷町、1987年、p39
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写真:奥 起久子撮影(2023/10/5)