米子市の市街地に寺町という寺院が集まっている地区がある。その一角にある妙興寺の鬼子母神は、子授け・子育ての神として信仰され、ここに乳形をしたものを作って供えると母親の乳がよく出ると言われたという話が『新修米子市史』にある。
妙興寺は山号を普平山という日蓮宗の寺院。旧本山は堺妙国寺で、米子の街の礎をつくった米子城執政家老横田内膳正村詮の墓所がある。
石川県の金沢市には同じ寺町という寺院が集まっている地区があり、乳の祈願が行われた鬼子母神が祀られている寺院が2箇所ある。そこにあった乳袋の授与のような乳に特化した伝承はないようだが、住職のお話では乳の祈願でお参りされる方は現在でもいるとのこと。資料にある乳型については情報はなかった(2024年7月取材)。
米子市史編さん協議会:新修米子市史 第五巻民俗編、米子市、2000年、p713
写真:奥 起久子(2024/7/8撮影)
情報提供:鳥取県立図書館