鬼村地区にはその名の通り鬼の伝承が伝わる巨岩が聳えていて、県指定天然記念物となっている。凝灰岩からできており風蝕という浸食作用でできた穴がいくつもあり、中にいくつかの地蔵や観音像が祀られている。その一つに赤子仏という高さ40cmくらいの石仏がある。鬼岩の裏の狭い「仏谷」で毎夜赤ん坊が泣く声がするので、鬼岩にお祀りして供養したところ声が聞かれなくなったこと、赤子仏に祈願すると乳が授かるといわれたという話が伝わっている。
この話は伝承で書かれた資料はないそうだが、「大屋まちづくりセンターふるさとおにむらづくり実行委員会」が作成したパンフレットに記載されている。周囲はよく手入れされており、地元の方々によって大切にされているようだ。
祠に残されていた古い板に「赤子奉新造地蔵尊像」の墨書があり、また台座は一部は破損しているが結構重いものだそうだ。
大屋まちづくり推進委員会文化伝承部会:パンフレット「ふるさと大屋の歴史」その5鬼岩、2020年
写真提供: 安藤彰治氏(鬼村自治会)
情報提供:間野大丞氏(島根県古代文化センター)