知夫里(ちぶり)島の透き通った美しい海に面した崖の上に立つ古い神社。祭神は豊玉姫と玉依姫の姉妹の女神で、お産や乳の出にご利益があり、乳型を奉納すると乳を授かるという話が『知夫村史』と知夫村が立てた現地案内板にある。
島根県神社庁のサイトでは、海上安全・豊漁・安産・乳授のご利益があり乳型を奉納する、主祭神は日本姫命(倭姫命)(やまとのひめのみこと)とある。お近くにお住まいの高齢の男性(86歳)のお話によると、40年ほど前までは、小さい乳型が奉納されていたそうだが現在は残っていない(2023年10月訪問)。
『離島の伝説』に伝説がある。おてんばの姫がいて、ここの崖をよじ登っている途中で産気づき、その辺りにいた鵜を捕まえて産屋の屋根を葺いて出産。乳を出すために親神に祈願したところ乳も出た。その謂れからここに祈願すると乳が出るといわれるようになったとある。
境内には古い神楽殿があり、40年ほど前までは夏に島前神楽が奉納されていたとのこと。
すぐ近くの港からの海側登り口の脇には、6世紀後半の庶民のお墓といわれる宮の影横穴墓群がある。
知夫里島は隠岐島のそばにある人口620名の小島で、人口と牛の数が同じという酪農の島でもある。しかしそれよりも遥かに多いのがタヌキの数だそうだ。移住者にも優しい島とのことである。
福田清人、諸田森二:離島の伝説 日本の伝説50、角川書店、1980年、p77
知夫村:知夫村史 復刻版、1997年、p160〜161
知夫村観光協会 http://www.chibu.jp/experience/himemiya-shrine.html
島根県神社庁サイト https://www.shimane-jinjacho.or.jp/chibumura/a7eb32ba927796094cdaf276dcadf9688c5bd6d4.html
写真:奥 起久子撮影(2023/10/3)