別に記載している榊葉神社 の乳呼(ちよび)神社が合祀される前にあった場所である。現地にある説明板(設立者・時期不明)には「以前は乳が不足すると豆腐、乳が余ったときは油あげを供えて祈ると霊験があるとされている」という他にはない情報が記載されているので、別に項目を設けた。乳が余る時に祈願するというのは、乳預け祈願の1種である。
合祀されたのは明治43年(1910)とのことだが、説明板は比較的新しい。雪の中で妊娠中の巡礼が行き倒れて亡くなったが、赤ちゃんが生まれており乳首を咥えて生きていた。村人が母親を埋葬して塚を作り、乳が出るよう祈願するようになったという話が記載されている。
もとあった乳呼神社は『久米郡誌』によれば延元2年(1337)に造営されたという古いものだったそうだが、合祀で建造物は取り払われており、基壇の小さい石組みと周囲に石造物・石仏などが残っているのみ。昔の津山往来のそばであるが、林の中で目印もなくわかりにくい場所なので、事前に情報を得てから訪れるのがよい(2023年4月取材)。
久米郡教育会:久米郡誌、久米郡教育会、1923年、p73〜74
https://lab.ndl.go.jp/dl/book/978690?page=61
太田忠久、水藤晴夫:岡山の伝説 日本の伝説29、角川書店、1978年、p93〜94
ブログ「紀行歴史遊学」 https://gyokuzan.typepad.jp/blog/2020/06/乳塚.html
サイト「津山往来8」 http://www.yomimonoya.com/kaidou/okayama/tuyama08.html
写真:奥 起久子撮影(2023/4/8)
情報提供:榊葉神社