蛇円山山頂駐車場脇から500mほど登山道を下った道の傍の杉林の中にある湧水。直径1.5mほどの石の下から水が湧いている。
明治の頃から知られていたそうで、この水を飲むと「子宝に恵まれた」とか「乳が出るようになった」という霊験が噂になり、安産の水と呼ばれた。別名「霊水」「長命の水」とも呼ばれた。
現在水量が減少して、訪れる人はいなくなっているそうだが、以前は新聞で報道され、山道沿いに幟(のぼり)が沢山立って、大勢の人が祈願に訪れていたという話が『錦川鯉の名水賛歌』にある。水質検査をしたところ、ラドンが検出されたともいう。
蛇円山は福山市郊外にある備後では1、2を争う高さの緑豊かな水源の山。形から備後富士とも呼ばれ、標高545.8m。
山頂に祀られている高麗神社は竜王さんと呼ばれ、雨乞いの神事が行われ、龍蛇伝説が残る。雨を降らせる蛇が住んでいると伝わり、昔は雨乞いのため蛇円山山頂からの狼煙を合図に一斉に火を焚いて煙を出したと伝わっているそうだ。
錦川 鯉:錦川鯉の名水賛歌 広島版 VOL.5、2006、p63
錦川鯉の名水賛歌 https://n-koi.sub.jp/prof/hiroshima.html
写真:奥 起久子撮影(2023/4/9)
取材協力:錦川 鯉氏