広谷の子育て観音に祈願すると乳の出がよくなるという言い伝えがあった。第二次世界大戦前まではお参りも多く、2個の乳房を板につけた奉納物がたくさんあった、という話が『郷土府中のはなし』に掲載されている。
この資料には、広谷団地裏にある子育て観音という説明で、広谷寺の写真があげられているので、この寺院に祀られていた観音さまが子育て観音といわれてお参りされていたということであろう。
広谷寺は臨済宗妙心寺派の寺院であったが廃寺となった。現在住宅の突き当たりに石段と塀と本堂と思われる建物が1棟残されているが、すでに管理されておらず詳細は不明である。
桑田仁乗:郷土府中のはなし、府中市民タイムス社、1981、p27
写真:府中市提供