文裁寺の子育て観音と呼ばれているが、廃寺となった報恩寺があった場所で、文裁寺からは1kmほど離れている。「子育て観音」と呼ばれている観音堂と「乳石」がある。「乳石」は高さ約60㎝の五輪塔のような石造物で、中程の石の上に小さなくぼみがあり、乳の形をした石が載っている。
観音堂の観音に祈願して乳石のくぼみの露滴を飲むと母乳がよく出るようになると言われ、観音堂の外壁にはお礼の乳型絵馬が多数奉納されているという情報が、ここを管理している文裁寺公式サイトにある。
乳型は古いものも取り払わずに多数残っている。たまたま別途取材に訪れた淡路島の寺院の住職夫人がこの地区の出身で、母親がここに奉納するため乳型をよく作っていたそうである(2024年4月取材)。
興味深いのは、乳型絵馬は乳型2個で1セットが普通だが、ここには4個のものが混じっていること。これは酪農農家が奉納した牛の乳の祈願なのだという話が中国新聞ヒロシマ平和メディアセンターサイトにある。
ここの十一面観音立像と聖観音立像が国の重要文化財で、他に町指定重要文化財の木造二天立像もある。仏像の特徴から平安時代が開基と推定されている。
文裁寺公式サイト乳石 http://www.bunsaiji.jp/saizuan/kannon
中国新聞ヒロシマ平和メディアセンター http://hiroshimapeacemedia.jp/kikaku/child/news/090718.html
写真:奥 起久子撮影(2024/4/22)