日本助産師会出版

乳信仰探訪

堂内には3体の石地蔵と奉納された乳型がある
背の低い木々に囲まれてこぢんまりとしたお堂がある

安宿(あすか)地区、中屋谷の山を少し登って行った所の車道の近くにある。由来は不詳だが、いつのころからか「乳地蔵」といわれ、乳の出に霊験あらたかとして遠方からお参りする人が多かったということ、白い布で乳房をかたどったものが供えられているという話が『山陽路のお地蔵さん』にある。
堂内には3体の石地蔵が祀られており、『豊栄町史』によると、中央の地蔵は吉田町方面から来る人への道標も兼ねた地蔵。ということは以前は道端に置かれていたのであろう。右は「み王ら」左が「こうさん」であるとのこと。
堂内には『豊栄町史』の写真にあるほどではないが、数個の乳型が奉納されており、どなたかお世話している人がいるようで、地蔵は新しい赤い前掛けをつけている。
昔は山越えの人の往来があった場所なのであろうが、近くに資材置き場はあるものの人家はない場所で、木に囲まれてお堂がポツンと立っている。

花谷 武:山陽路のお地蔵さん、エイト出版社、1977、p96〜97
豊栄町教育委員会豊栄町史編纂委員会:豊栄町史 近現代編、豊栄町、2004、p576
写真:奥 起久子撮影(2024/7/7)

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