佐々井地区の農村地帯にある自休堂は自休観音堂とも言われ、観世音菩薩を祀る。ここに乳房の作り物を供えて祈願すること、乳授けだけでなく、子どもが亡くなって不要になった場合は乳を預ける祈願も行われた、という話が『高田郡史』にある。
サイト「ひろしま文化大百科」には、乳が授かると伝えられ篤く信仰されたこと、乳を授かりたい時にはお堂にご飯を供え祈願すると必ず願いを聞き届けられるとある。
佐々井地域振興会が平成27年(2015)にたてた現地案内板には、堂守さんが記載した情報として、乳もらいの風習は昭和30年代(1955)まであったと記載されている。堂内の観音像の前に一つ奉納された乳型絵馬があった。
室町時代に、もと京都紫野の大徳寺の僧であったとか、鎌倉五山の1つ建長寺の僧であったという話が伝わっている自休が、この地に来て庵を結んだと伝わっている。京都から訪ねてきた純蔵主一休をここでもてなしたという(『ひろしま文化大百科』)。
現在の本堂は宝暦9年(1759)に建てられたもので、昭和9年(1934)までは茅葺だったとのこと(現地の棟札風書付より)。
ひろしま文化大百科 https://www.hiroshima-bunka.jp/modules/newdb/detail.php?id=534
高田郡史編纂委員会:高田郡史 民俗編、高田郡町村会、1979、p310、p479
https://dl.ndl.go.jp/pid/9574376/1/172
https://dl.ndl.go.jp/pid/9574376/1/256
写真:奥 起久子撮影(2024/7/7)