宮島の商店街の狭い路地、鬼隠(かくれんぼ)小路とも言われる道を抜け、女坂と呼ばれる坂道を上った突き当たりに乳地蔵の小さいお堂がある。宝寿院本堂のすぐ外側になる。中に石の地蔵といくつかの石造物があり、お花が供えられている。
この乳地蔵に乳の祈願が行われ、願いが叶ったらお礼に母乳を奉納するという話が、『世界文化遺産の島 宮島を楽しむ』や複数のブログで紹介されている。江戸時代の『芸州厳島図会』に記述があるということで、古くから信仰されたものと思われている。ブログ「広島ぶらり散歩」には母乳が出過ぎる場合にも対応したとあり、そうだとすると乳預けのことを意味するわけだが、具体的な情報や出典は不明である。
以前は宮島での出産は禁じられていて、妊婦は7ヶ月で対岸に渡り、出産後は75日経ってから島に戻ったので、女性達は島を離れる前か、帰島してから参拝したのであろう。
宝寿院は天慶9年(946)開基と伝えられる真言宗の古刹で、ご本尊の阿弥陀如来は網にかかって海中から出てきたという。本堂と庫裡は500年以上を経た建物で、多くの仏像や仏画、古文書などを所蔵している。
中国新聞社:世界文化遺産の島 宮島を楽しむ 改訂版、中国新聞社、2006、p105
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写真:奥 起久子撮影(2024/4/21)