日本助産師会出版

乳信仰探訪

松尾寺(周防大島)の金剛水

周防大島の山の上、落ち着いた場所に松尾寺がある
岩壁の下の井戸水が金剛水と呼ばれ、乳の祈願が伝わる
堂内に奉納されている手造りの乳型

周防大島町の帯石観音と反対側から山を登って行った場所に松尾寺(しょうびじ)がある。ここにまつわる伝説のひとつに、観音堂の後ろの岩間にある井戸の水を金剛水といって、この水をかえそめると(ママ)乳の出がよくなるという話が『周防大島町誌』にある。
金剛水の話は寺院関係者もご存知で、水を汲んで飲むとよいと言われているということである。堂内には乳型が奉納されているとのことだったが、訪問時に残っていたのは3組であった。日付は比較的新しいもので、2013年に書かれたブログには少なくとも9組の乳型絵馬が写っているので、古いものは片付けているのであろう(2024年4月取材)。
松尾寺は周防大島最古の寺で、開基は「今昔物語」で知られる基燈法師、承平6年(936)の創建とされている。伊予の河野氏が祈祷所として保護、当初は真言宗だったが現在は臨済宗に改宗された。周防国三十三観音霊場の第3番札所で、大島霊場第46番でもある。観音堂にはご本尊聖観音の脇仏として木造二天王立像の持国天と増長天が左右に配置されているが、平安後期の作といわれ県の有形文化財。

大島町誌編纂委員会、周防大島町誌、山口県大島町役場、1959、p967 https://dl.ndl.go.jp/pid/9574049/1/517
ブログ「周防大島での移住生活」 https://ameblo.jp/2448shichan333/entry-12472818058.html
写真:奥 起久子撮影(2024/4/22)

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