田畑と住宅が散在する鹿野中地区、鹿野高齢者生産活動センターのそばに、鹿野中山という標高435mの山がある。麓の標高がそれなりにあるので、山というよりも丘である。山頂には中山観音堂があるが、現在は観音堂、鐘撞堂、石造物などが残っているのみ。この山の中腹にある湧水の池が乳地蔵の池と呼ばれ、池の水を換えると乳が出るという話が『鹿野町誌』にある。
現在湧水の水量は多くはなく、水たまり〜小さい池程度。小さい石の乳地蔵さまは池の奥の草むらの中に立っている。鹿野総合支所地域政策課に情報収集していただいたところ、乳の祈願は最近まで行われていたそうだ(2024年4月取材)。
池までは鹿野高齢者生産活動センター側の道路から徒歩で登っていくが、所要時間は5分ほどではあるものの、周囲は個人の所有地で案内板など目印になるものは全くないため、知った人からの情報がないとアクセスが難しいと思われる。
『鹿野町誌』鹿野町誌編纂委員会、1970,p336、https://dl.ndl.go.jp/pid/9572664/1/181
写真:奥 起久子撮影(2024/4/21)