下関市の郊外田園地帯にあり、広い境内や参道から近くの龍王山(614m)が見える。乳を授ける以外に、安産や育児の神さまとして崇拝され参拝も多いと「龍王神社由緒略記」にあることが、現地の木版に転記されている。母子愛育会編『日本産育習俗資料集成』にも乳の祈願のために参拝する場所として記載(p358)。『下関市史』には、乳の出には吉見のウバヤサン(現・龍王神社)にお参りするとよいとの記載がある。
姉の豊玉姫の子どもを乳母として育てた玉依姫命が祀られていることから、以前は故郷社 乳母屋神社と呼ばれていた。大正6年(1917)にもと村社大綿津見神社を合祀して龍王神社と改称。
乳母屋神社は、第8代孝元天皇の時代に建てられたのが最初で、第27代安閑天皇の時代に現在地に社殿が建立され、長門国第3鎮守(長門国三ノ宮)として崇敬されたという日本最古級の神社。神功皇后が朝鮮に出兵したとき、龍王山の大楠木を切り出して軍船を作ったと言われる。龍王山山頂に上宮、中腹に中宮、麓に下宮がある。
龍王神社境内の樹林は、暖帯林の極盛相に近い状態がよく保たれ、イチイガシを優占種とするイチイガシ・ヤブツバキ群落として県内では他に例のない特色をもつとして平成3年(1991)市の自然記念物に指定。
下関市市史編修委員会:下関市史 民俗編、下関市役所、1983、p396
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写真:奥 起久子撮影(2024/4/21)