青海島・通地区の清月庵境内に祀られている延享元年(1744)に建立されたというお地蔵さま。乳の祈願についての伝承があり、『通・仙崎・深川・俵山 ふるさとの石仏』および現地に掲示されている銘文に、乳が余った時は地蔵にお供えし足りない時に祈願すれば出るようになるという地元の女性からの情報が記載されている。関西地域以外では珍しい乳預けもあったことがわかる。
銘文には奉納関係者の名前とともに西国三十三ケ所と記載されており、信仰の篤い講中が西国三十三ケ所観音霊場巡礼の記念に造立したものではないかと考えられるとのこと。二世安楽というのは、現世の安穏と来世の極楽往生を願ってのネーミングではないかとも。
以前は裏の山の中にあったが、お参りの便宜を図るため、平成17年(2005)に清月庵境内に新しくお堂を立てて移された。
清月庵は、浄土宗向岸寺五世讃誉上人が51歳で隠居してここに住み、鯨の菩提を弔ったという。境内には捕獲された鯨の胎児を祀ったという元禄5年(1692)銘の青海島鯨墓がある。
長門市郷土ぶんか研究会:通・仙崎・深川・俵山 ふるさとの石仏、2006、p4
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