法寿院は遠くに石鎚山を望む落ち着いた雰囲気の寺院。境内に石の乳地蔵を祀る乳地蔵尊堂があり、ウィキペディアに安産・子授け・子育ての乳地蔵堂との記載がある。
以下の住職からの情報が大変興味深い。地蔵は江戸時代に田の中から掘り出されたので、当初は田中地蔵と呼ばれた。乳を思わせるような色白のお地蔵さまなので、最初は乳の余った人がお地蔵さまに乳をかけてお預けします(減らすよう)と願ったもので、その後乳の欲しい人が乳授けの祈願をするようになったとのこと。
第二次世界大戦前には竹の筒に乳を入れたものが奉納され、竹筒がずらっとかけられていたとのことだが、今は丸い石ばかりが奉納されている。祈願時に何も書かれていない石を一つ持ち帰り、願いが叶った時のお礼の参拝時に、名前や日付を記載したものと、何も書いていない新しいものと合わせて2個の石を奉納するのだそうだ。訪問時には地蔵の前には20個くらいの丸い石が奉納されていた。
現在は子授け、安産、子育てといっているが(霊場会サイト)、乳の祈願がまず最初でそこから派生したものです、とのこと。住職の話では、これらは伝承で記載された資料はないという(2023年10月取材)。
法寿院の山号は養命山といい、真言宗豊山派の寺院で、本尊は延命地蔵菩薩。新四国曼荼羅霊場の第45番札所。大正4年に火災に遭って、裏山にあった元の場所から現在地に移転した。開創は不詳だが、元の場所にある光明院塚には享徳9年(1460)の創建とあるとのこと。この時の火災で元の寺院は全焼したが、ご本尊と弘法大師直筆といわれる五大明王図は難を逃れて伝わっているという。
新四新四国曼荼羅霊場会サイト http://www.mandala88.com/88/40/45/45.htm
ウイキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/法寿院
写真:奥 起久子撮影(2023/10/24)