日本助産師会出版

乳信仰探訪

背の高いイチョウで遠くからもよく見える
弘法大師が四国各地を巡行した際草堂を建立したのが最初と言う古い歴史を持つ聖臨寺
ギンナンをたくさんつける雌木で、チチはそんなに多くない

聖臨寺(しょうりんじ)へ通じる坂道の入口に立つイチョウで、樹高35m*、目通り幹周6.3m*、推定樹齢300年以上*で市指定天然記念物。『えひめ 森林と木の生活誌』に、チチがあり乳の祈願がなされると紹介されている。
元情報は古い愛媛新聞記事で、当時の住職からの情報として「その昔、根元に地蔵尊があったが、いつの間にかこれを巻き込んでしまったという。そんなことから、地域の人々にイチョウの木の中に地蔵尊が宿っていると信じられるようになり、母乳の少ない母親が根っこに乳を落とすと母乳がよく出るというほかに、子どもが授かるといわれ、安産の守り本尊として地域の信仰を集めたそうだ」とあるとのこと(森 正康氏より)。
イチョウは県道からもよく見えており、市内のイチョウの中で最も樹高が高く、八多喜町のシンボル的な樹木という。
聖臨寺は現在高野山真言宗の寺院で、粟津小学校の裏山にある。弘仁年間(810~724)に弘法大師が四国各地を巡行した際、この地に草堂を建立したのが始まりと伝えられる古い歴史を持つ。
* 1991年環境庁データベースより

愛媛新聞記事「伊予の古木」1975年2月19日
愛媛県林材業振興会議:えひめ 森林と木の生活誌、愛媛の森林基金、1991、p126
資料提供:公益財団法人「愛媛の森林基金」
情報提供:森 正康氏(東雲短期大学名誉教授、『えひめ 森林と木の生活誌』著者)
写真:奥 起久子撮影(2023/10/23)

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