県道211号沿いの三島神社参道石段脇に大イチョウが立っている。樹高40m*、目通り幹周7.4m*、樹齢伝承1200年以上*とされていて、県指定天然記念物。このイチョウのチチの皮を煎じて飲めば、乳の出が良くなるという伝承があり、「乳出の大イチョウ」と名づけられたという。遠近の母親たちが祈願しに来て、乳授けの神とあがめていると『日本老樹名木天然記念樹』『愛媛県老樹名木図説』『樹木図説』に記載されている。
『愛媛県史』には、「小田町(旧町名)の乳出の大銀杏に祈願し、木の皮をいただいて帰る」と記載があるように、祈願にくる人には樹皮を渡していたらしく、先端が切られたチチが多く見られる。近所の高齢の男性は、昔は沢山の人が祈願に来ていたが・・と話していた(2023年10月取材)。
三島神社は和銅5年(712)に大三島より三神を勧請して創建されたと伝えられている歴史ある神社。氏子の努力によりみごとな社殿が今も守られている。町指定文化財。
*1991年環境庁データベースより
帝国森林会:日本老樹名木天然記念樹、大日本山林会、1962、p294
秋山英一:愛媛県老樹名木図説、愛媛県老樹名木図説刊行会、1966、p21
上原敬二:樹木図説 第2巻イチョウ科、加島書店、1970、p171
愛媛県史編さん委員会:愛媛県史 民俗(下)、愛媛県、1984、p298
https://www.i-manabi.jp/system/regionals/regionals/ecode:2/50/view/6602
林 与一郎:小田町史、小田町、1985、p1154
牧野隆史:愛媛の巨樹80選、愛媛新聞社、2003、p120〜121
サイト「人里の巨木たち」http://www.hitozato-kyoboku.com/nakagawa-ichou.htm
写真:奥 起久子撮影(2023/10/23)