喜田村の以前石風呂海岸と呼ばれた地区の砂浜に2体の地蔵が立っていた。古い方は文政5年(1822)、新しい方は大正11年(1922)に建てられたとのことで、江戸時代に海難事故で亡くなった3名を祀ったものという。
海難事故にご利益があると言われるほか、赤子のために乳を授けてくれたり、熱病をいやしてくれたりするのに大変効果があるとされて人々の信仰を集めた、と『今治地方の伝説集』と今治商工会議所サイトに記載されている。
資料には古老の話として、子どもが生まれたら必ずよだれかけを差し上げますからどうか乳をお授け下さいと願を掛け、後日その約束を果たすとされていたともある。夏になると以前はお地蔵さまの場所で盆踊りを行っていたとのこと。
この海岸は埋め立てられて砂浜はなくなっており、道路(鳥生東村海岸線)が通って周辺も住宅地になるなど様子が一変、お地蔵さまは10数年前ころに移動されたようで姿を消してしまい、存在が確認されていない(2024年4月取材)。
大澤文夫:今治地方の伝説集、今治商工会議所、1992、p29〜32
今治商工会議所サイトhttps://www.imabaricci.or.jp/今治地方の伝説集/#hamanoozizousan
資料と情報提供:今治商工会議所、今治市生涯学習課
写真:奥 起久子撮影(2024/4/23)、今治商工会議所提供