鞍瀬川沿いの153号は県道とは言うが狭い道路、そこを通って鞍瀬集落に入ると磐根神社がある。
境内にある薬師堂の「乳薬師」に祈願して境内のイチョウの葉を煎じて飲むと、乳がよく出るようになるという情報が『桜樹村の足跡』『丹原町の文化財』『西条の巨樹』にある。宮司のお話によると、祈願には葉ではなくイチョウのチチを煎じて飲んだとのことで、第二次世界大戦後しばらくまでは行われていたそうだ(2021年12月取材)。
イチョウは樹高35m*、目通り幹周5.2m*、推定樹齢400年**以上で、市指定天然記念物。ご神木としてしめ縄が巻かれている。安芸の毛利家から帰って来て牛頭天王を祀るこの場所の神職になった佐伯小太夫という人物が、天文12年(1543)に植えたと伝わっているそうだ。
磐根神社の創建などは不詳だが、江戸時代の棟札によると祖母滝明神、牛頭天王宮と言われたらしい。明治2年(1869)に磐根神社に改称したとあり、素盞鳴尊など3柱を祀る。神社に薬師堂があるのは神仏混淆の名残りなのかと思ったがそうではなく、薬師堂がここに祀られたのは大正時代になってからということである。
*1991年環境庁データベースより **現地説明板
松木 武:桜樹村の足跡、1985、p89〜92
丹原町教育委員会:丹原町の文化財、1998、p33
西条市環境サポーター:西条の巨樹、西条市環境サポーター、2009、p27
https://www.city.saijo.ehime.jp/uploaded/attachment/340.pdf
資料:西条市教育委員会提供
写真: 佐伯敦彦氏(磐根神社宮司)提供