日本助産師会出版

乳信仰探訪

神通寺地区の薬師堂

伝承を後世に残そうと、2020年に地元の方々によってお堂が改築され、年に1回のお祭りをする運びになった
薬師如来は江戸時代からお祀りされていると言われ、高さ約140cmある立派なもの
台座に安永2年(1773)にお堂を建てたという情報が書かれていた

神通寺集落の薬師堂は地域の小さなお堂で、ここの薬師如来は古くから「乳の神様」として親しまれてきたという伝承がある。古老の話では、乳の祈願のために遠くからもお参りに来ていたということである。記載された書籍はなく、「乳の神様」を後世に伝承を、「乳の神様」お堂新築というタイトルで紹介した新聞記事がある*。
薬師如来像は洪水で流されてきたもので、安永2年(1773)に旧神通寺村の人たちがお祀りするためお堂を建てたという情報が台座に書かれていたが、移転時に台座を修復したのでもう見られなくなってしまった。
薬師如来は台座を含めて高さ約140cmある立派なもの。お堂が古くなり、また住民の高齢化のため参拝者が減少してきたので、伝承を後世に残そうと、2020年に地元の方々によってお堂が改築され、年に1回のお祭りをする運びになったとのこと。
解体時には昭和30年に書かれたという書き付けが出てきたが、それには8つにバラバラになって捨てられていたお薬師様を拾い集め、専門家に見せて修復してお祀りしたとあり、受難のお薬師さまのようである。
同じ敷地には、イボ取りに御利益があるとされる石造りの「いびらのお地蔵さま」も置かれている(いびらは高知の方言でイボの意)。集落名からわかるように、ここには廃寺になったお寺があったらしいが、資料はないようで詳細は不明。

高知新聞ニュース2020.09.08、 高知新聞ニュース2020.10.30
写真:大利美寿氏(薬師堂改築発起人代表)提供

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