今山地区の勝浦川堤防に立つ大きなイチョウ。ギンナンがたくさん実る雌木であるが、立派なチチがたくさん垂れている。樹高18.4m*、幹周4.54m*、樹齢は大正3年(1914)徳島県内調査時のデータに300年*とあるとのことで現在400年ということになる。
乳授けのため人々がお参りすること、人が止めるのを聞かずに枝を切り取って金儲けをしようとした男がバチが当たって、石場の橋(現・仁心橋)が崩れ死んでしまったというような話が『阿波名木物語』にある。
ここを管理されている方のお話では、乳の祈願については知られており、今もたまにはお参りする方がいるとのこと。以前は樹下の土手の内側に古いお堂があったが、数十年前老朽化のため建て替えられている(2023年9月取材)。
一方、この庵は観音庵とも書かれており、参拝すると初乳がよく出ると言われていると、個人のブログにある。
このお堂は地域の第八十八番札所で、入口に地蔵菩薩のようにも見える石仏(台座には薬師如来とある)が祀られているほか、奥の方に木造千手観音や弘法大師木像など数体が祀られている。地蔵庵・観音庵、両方の呼称があるのはそのためであろう。秋には見事に紅葉するので、イチョウの木巡りが企画されている。
*『阿波名木物語』による
横山春陽:阿波名木物語、徳島新聞出版部、1960、p165〜167
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写真:奥 起久子撮影(2023/9/11)