2005年に高知市に編入されるまでは村だった地区で、山の中である。そこにある熊野神社からちょっと先の斜面の上に、むかしは庄屋だったという一軒家がある。庭にイチョウの巨樹が立っており、大きいので県道33号線からも上方に見えている。
1991年環境庁のデータベースには、乳の出ない人が乳もらいに来ると記載。1997年の地元の新聞に紹介記事がある。以前は高知市内の一宮や朝倉から乳の祈願のために樹皮を取りに来たそうで、昭和30年(1955)頃までは供物で根元が見えないほどだったが、取材時点では月に1名来るか来ないか、など詳しい紹介がある。
所有者(72歳)のお話によると、イチョウは天文年間(1532〜55)に植えられたという伝承があるとのこと。むかしは「願ほどき」のお礼参りとして、「所願成就」と年・年齢を記入した赤い布が木にびっしりと結び付けられていたそうである(2023年9月取材)。
環境庁データでは、イチョウは樹高25m、幹周4.4m、樹齢300年以上とある。雌木でたくさんギンナンを実らせているが、大小多くのチチが下がっている。
高知新聞1997年11月16日記事「命育てる乳イチョウ」
写真:坪井志津氏提供(高知市在住、助産師、IBCLC、2023/9/10撮影)
情報提供:高知県林業振興環境部