自生しているのは四万十町魚ノ川という場所で、周囲は山里。木は樹高14m、目通り幹周8.5m、推定樹齢700年で、国指定天然記念物である。幹には大きな空洞ができていて、洞内に小祠があり、「乳を授ける」という旧窪川町と高知県緑化推進委員会が共同で建てた現地案内板が立っている。
幹に乳房のようなコブが出来ていて、古くから「乳もらいの木」として信仰を集めていたとのこと。昔は2本あって2本ヂシャと言われていたが、1本は枯れてしまった。
『窪川町史』によると昭和初期までは、周囲にしめ縄が張られ、木の前には願が叶ったお礼の紙や布でできた小旗を竹にさして、たくさん立ててあったそうである。1991年環境庁のデータベースでは「乳を授ける」と記載。
チシャノキはムラサキ科の暖地系の落葉高木。葉の広い変種をヒロハチシャノキと言う。6月から7月にかけて小さな白い花を咲かせる。
九州太宰府にも国指定天然記念物のヒロハチシャノキがあり、ともに日本のチシャノキの巨樹であるが、太宰府の方は乳の祈願の話は伝わっていない。
窪川町発行、窪川町史、1970、p253〜254
全国林業改良普及協会:土佐の名木、高知県、1971
窪川町発行、窪川町史、平成17年、p960
https://www.town.shimanto.lg.jp/download/?t=KH&id=40&fid=3283
資料と写真提供:四万十町教育委員会