圓教寺は、家々がたて込んだ町の住宅街にある。境内本堂前にあるイチョウは、樹高17m*、目通り幹周6m*、推定樹齢500年**で、市指定天然記念物。別名「乳いちょう」または「水吹きいちょう」と呼ばれる。
地上2、3mくらいのところに乳房のような瘤があり、乳が出るようお参りするという話が、須崎市「街歩きマップ」および現地案内板(設置者名不明)に記載されている。イチョウに乳の祈願が行われるのは、幹や枝から垂れたチチがあることによることがほとんどで、幹の瘤状のものというのはイチョウ以外のスギやクスにはあるが大変珍しく、イチョウでは唯一の例外ではないかと思われる。
「水吹きいちょう」と呼ばれるのは、むかし寺近くで発生した火事が本堂に燃え移りそうになった時、枝葉から水を噴きだして火を消したという伝承による。
圓教寺は山号を観龍山と言う浄土真宗本願寺派の寺院。嘉永7年(1854)にこの周辺を襲った大地震と津波について当時の住職が記した詳細な『嘉永大変記以後追々書』が残されている。
*1991年環境庁データベース **現地案内板
須崎市公式サイト https://www.city.susaki.lg.jp/download/?t=LD&id=180&fid=2658
サイト「奥四万十時間」https://okushimanto.jp/tourism/円教寺の大イチョウ
写真:坪井志津氏提供(高知市在住 助産師・IBCLC、2023/9/10撮影)