日本助産師会出版

乳信仰探訪

東霧島神社(つまきりしまじんじゃ)の乳水

伊弉冉尊を模した石造りの像から乳水が流れ出るようになっている
側の伊弉冉神社とクスの大木には安産のご利益があると記載されている
鬼磐階段という長い石段を登り切ったところにある東霧島神社本殿

東霧島神社は大変古い神社である。本殿に続く鬼磐階段という石段の下に町指定天然記念物の樹高50m、目通り幹周9.3m、推定樹齢1000年というクスノキがある。側には伊弉冉(いざなみ)神社(産婆祖母様:うばみおやさま)という小さい境内社、そのそばに乳水があり、安産と乳授けのご利益が伝えられる。
神社案内板には、本殿参拝が無理な身重の婦人は伊弉冉神社に参拝後、楠の大木を右に三回左に三回巡って祈願し、故有谷(ゆやたに)の乳水を飲んで帰れば安産間違いなし、と書かれている。乳水なのにご利益が安産のみになのは、宮司さんの説明によると、もともと乳授けの伝承もあるのだが、案内板作成時に抜けてしまっただけとのこと。またこれらは伝承で記載された資料はないそうだ。
近くにある周囲を石で囲んだ井戸のような池が伝承の乳水で、柄杓で水を汲んで使用していたが、昭和50年(1975)に伊弉冉尊を模した石造りの像を作成し、故有谷の奥から引いた水が乳頭から流れ出る仕組みにしたという(2023年1月取材)。
東霧島神社は伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が主祭神で、天照大神以降神武天皇までの多くの神を祀っており、ご利益も多岐に亘っている。国家の守護はもちろん、広く農・工・商すべての開運・福寿・治病・航海・縁結び・安産などの守護神であると神社の公式サイトにある。第5代孝昭天皇の時代に創建されたとされるが噴火により埋没、その後応和3年(963)に天台宗の性空上人が再興したという。

神社探訪 狛犬見聞録http://www.komainu.org/miyazaki/miyakonojosi/tsumakirishima/tsumakirishima.html
東霧島神社公式サイトhttp://tsumakirishimajinjya.com
写真:奥 起久子撮影(2023/1/8)

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