日田市郊外の鶴林寺堂内にお祀りされているお地蔵さまで、用松(もちまつ)地蔵尊ともいわれる。『天瀬町史』に古くからの乳もらいの場所として、高塚地蔵尊、台神社、薮観音、荒山地蔵尊、袋地蔵尊、出羽薬師が挙げられて、主としてイチョウに関係のある場所が多い、願いが叶うと、年の数だけの乳型を供える、とある。
ここにはそばに大きめのイチョウが2本立っているが、イチョウに乳の祈願が行われたかどうかは不明。
袋地蔵と言われるのは、むかし乱暴者の男が力試しのためにお地蔵さまの首を落としてしまった。そのためお顔に袋をかぶっているから、という民話*が伝わっている。堂内には祈願のための千羽鶴がたくさん奉納されている。
天瀬町:天瀬町史 明日への礎 改訂版、天瀬町、2005、p592
*NTT日田電報電話局編集委員会:豊後日田の昔ばなし、1987、p25〜28「袋地藏さまの話」(乳の話はない)
写真:内岡 恵撮影(2023/8/23)