下市百穴から続く川に面した岩壁に彫られた磨崖仏で、集落からすぐの場所にある。不動明王を中心に像高0.7〜2mの10体の仏像がずら〜と並んでいる。
この不動明王は、お粥を供えてお参りし持ち帰って食べると乳がでるようになる「生不動」である、という話が『大分県郷土伝説及び民謡』にある。安心院地区まちづくり協議会サイトには、乳のご利益があり「乳不動」とも呼ばれたとある。協議会の建てた詳細な現地案内板には、「乳を求めて50里100里 岩に刻んだ生き不動」という文言が安心院俚謡として紹介されており、ずいぶん遠くからも参拝者が来たのであろう。
宇佐市教育委員会の現地案内板によると、北東斜面の7体は14世紀後半(室町時代)、一部崩落している南東壁の3体は13世紀ごろ(鎌倉時代)に作られたと考えられており、県史跡に指定。
協議会案内板によると、あまり遠くない場所にある三女(さんみょう)神社の末社の火産霊(ほむすび)神社が昔ここに祀られ、元正天皇(女帝で在位715~724)の頃高僧仁聞が来て磨崖仏を刻んだという伝承があるそうだ。
大分県教育会:大分県郷土伝説及び民謡、大分県教育会、1973、p262
安心院地区まちづくり協議会サイト https://www.ajimu-machikyo.com/ふるさと納税/文化/七不思議/
ウィキペディア https://ja.wikipedia.org/wiki/下市磨崖仏
写真:奥 起久子撮影(2023/8/21)