日本助産師会出版

乳信仰探訪

石鳥居をくぐって石段を登ると境内左手にご神木の大きなイチョウが立っている
幹や枝にある乳瘤の皮を煎じて飲むと乳の出がよくなると古い資料にある

西椎屋神社もしくは椎屋神社のイチョウともいわれる。宇佐市院内町と玖珠町の境で、耶馬渓からずっと奥に行ったところにある西椎屋集落に神社があり、古い石鳥居をくぐって石段を登ると境内左手にご神木の大きなイチョウが立っている。
樹高30m*、目通り幹周10.6m*、推定樹齢1300年**と言われ、市指定天然記念物で県指定保護樹木。チチのことを「乳瘤」と呼ぶとあり、このイチョウには幹や枝に無数の乳瘤が生じていて、その皮を剥ぎ取って煎じて飲むと乳の出がよくなると言われて参詣者が多いという情報が、『大日本老樹名木誌』『南院内村史』『日本老樹名木天然記念樹』『樹木図説』にある。旧院内町教育委員会の現地案内板には、「西椎屋大銀杏」母乳促進剤の効果がありお参りする人も多い、とある。
西椎屋神社は今は無人だが、天平(729〜794)の頃、西椎谷の滝壺に住むという大蛇対策として龍神を祀ったのが最初という、大変歴史の古い神社と伝えられている。
 *1991環境庁より  **現地案内板より

本多静六:大日本老樹名木誌、大日本山林会、1913、p116
阿部松鶴:南院内村史、1931、p5〜6
帝国森林会:日本老樹名木天然記念樹、大日本山林会、1962、p290〜291
上原敬二:樹木図説 第2巻イチョウ科、加島書店、1970、p179
熊本広志:九州の巨樹、2009、p 87
宇佐市観光協会サイト https://www.usa-kanko.jp/spots/detail/106
写真:奥 起久子撮影(2023/8/21)
資料提供:宇佐市教育委員会

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