豊後大野市の郊外の落ち着いた場所にある寺院で、道路から石段を登っていくと南蛮風の山門がある。ご本尊の釈迦如来の他に子安観音と言われる観世音菩薩立像が祀られており、この観音さまには安産と乳授けのご利益があるという話が『大野町史』にある。
銅製で1寸8分(約5.5cm)とういう大変小さい観音さまとのこと。近郷の母親たちに信頼されていて、ここに乳もらいの祈願に来てお水をもらい、お粥を炊いて食べると乳が出るという。
宝福寺は山号は徳林山という現在臨済宗妙心寺派の寺院。便達天皇12年(583)百済の日羅上人が来日して九州一円に1000余の寺院を建立した時に建てられたうちの一寺という伝承がある。
その後荒廃・再建・移転を繰り返し、宝永6年(1709)から現地に落ち着く。この際の建物は地元の大庄屋が寄付したが、その時の手続きに不備があり大庄屋が職を解かれたという細かい話が伝わっている。
大野町史刊行会編:大野町史 民俗編、1980、p870
写真:奥 起久子撮影(2023/4/29)
情報提供:豊後大野市教育委員会